新入り猫と先住猫を馴染ませるためには、飼い主さんの忍耐が成功の鍵です。猫はとても神経質な動物なので、まず最初に数日~数週間かけて新入り猫を家に馴染ませた後、少しずつ先住猫に馴染ませていくことが最適です。最後のステップまで1ヶ月以上かかることはよくあります。どちらの猫にも負担をかけないよう、ゆっくりと時間をかけ、気持ちのいい方法で馴染ませてやりましょう。
1:新入り猫の隔離
新入り猫を小部屋やケージに数日間隔離します。新入り猫が慣れてきて家の中を探索させる時には、先住猫を快適な場所に移動して、対面させないようにします。
資料「新しい環境に猫が馴染むため、絶対に欠かせないシャットダウン1週間」を参照してください。
2:においの交換
注意)絶対に猫同士を対面させないように注意してください。
毎日、2匹の猫と個別に触れ合う時間を設け、あなたについた匂いをそれぞれの猫に嗅がせてやります。別の方法では、ひとつのタオルを使ってどちらかの猫を擦ってから、同じタオルで別の猫を擦るようにする方法も効果があります。このタオルで椅子やテーブルの足、壁の角っこなど、普段先住猫が体をこすり付ける場所を擦ることも同時にお勧めします。もしスペースに余裕があるなら、新入り猫の小部屋と先住猫の居場所を交換する方法も試してみて下さい。まず、新入り猫を小部屋から別の場所に隔離し、先住猫を新入り猫の小部屋に入れてにおいを嗅がせたり、観察させたりします。この時、先住猫にとって100%快適でなければなりません。飼い主さんが一緒に小部屋に入ること、猫がいつでも外に出れるようにドアを開けっ放しにしておくこと、最後におやつを上げたりして下さい。においを嗅がないからと言って頭を押さえつけたり、またにおいを嗅いでいる猫の気をそらすような事や、途中で観察をやめさせないようにしてください。
注意)どちらの猫も健康であること、各種予防注射の接種をしていることを前提にしています。
3:初めての対面
新入り猫をキャリーに入れて床に置きます。先住猫が自分から近寄り、においを嗅いだり観察するのを許します。数秒~数分の時間からはじめ、どちらかの猫がうなったり、攻撃した場合はすぐにキャリーを移動し、数日前の手順に戻り、数日後にやり直します。
4;ポジティブな関連付けをしていく
同じ場所で餌を与える前に、新入り猫のいる小部屋のドア越しに先住猫に食事やおやつを与え、先住猫のにおいや存在にポジティブな印象を関連付け始めます。そして数日様子を見ながら、2匹の猫が同じ部屋や同じ場所にいる時にエサやおやつを与えて、ほかの猫の印象をポジティブなものにしていきます。この時、新入り猫はケージに入っていてもかまいません。先住猫がいつでも部屋を出て行けるようにドアをあけて置いてあげて下さい。どちらかの猫がエサを食べなかったり、威嚇が激しくなったり、攻撃した場合はすぐに2匹を離して、数日前の手順に戻ります。
5:新入り猫を家の中へ放す
先住猫が快適な部屋で昼寝をしている時などに、新入り猫を小部屋から出してやります。最初から家中すべてを探検させるのではなく、数日かけて少しずつ行動範囲を広げていき、最終的には家の中で自由にしてやります。
6:対面時間を延ばしていく
必ず飼い主が一緒にいる部屋のドアを閉め、2匹を放します。2匹を無理に近づけたりしないでお互いのタイミングでにおいを嗅いだり、挨拶するのを見守ります。威嚇をしたら少し様子を見、威嚇がエスカレートするようであればそこで終了します。数日クールダウンしながら繰り返し、少しずつ対面時間を延ばしていきます。攻撃した場合はすぐに離して数日前の手順に戻り、数日後にやり直します。対面時間が長くなってきても、飼い主さんが家を空ける時は、2匹の猫を隔離してお留守番をさせてださい。
7:猫同士が慣れてきたサインが見れたら終了!
- 猫同士がお互いに関心を持たず、リラックスして同じ部屋にいる
- そばで一緒に寝ている
- 一緒に遊ぶ
- 毛づくろいをしてやる
重要!先住猫を常に最優先する
このプロセスの間、先住猫には新入り猫がやって来ても安心感や居場所、今までの安全が奪われるわけではないと言うことを理解してもらわなければなりません。そのためには新しい猫よりも先住猫といる時間を多くしたり、たくさん撫でてやったりと、先住猫をつねに優先してやってください。
猫がシャー(威嚇)する時は?
猫の威嚇は猫同士のボディランゲージや会話でもあります。そうして猫同士でお互いの境界線を知り、付き合いを学んでいきます。猫が威嚇をしても人間は見守るようにしましょう。また威嚇している猫を落ち着かせようと撫でたり、抱き上げたりしないでください。猫の恐怖心を助長したり、相手の猫にネガティブなイメージを焼き付ける原因になることがあります。2匹の猫を離す必要がある時は、ドアを開けてやるとたいていの場合、どちらかの猫が出て行き、それ以上エスカレートすることはありません。残った猫が追いかけて喧嘩になる前に、1匹の猫が出たらドアを閉めてください。
もしもキャットファイトが始まったら?
猫が大喧嘩を始めた時は抱き上げたり、手でとめようとしないでください。この時に人が大怪我を負うことがよくあります。やわらかいホウキやテニスラケットなどを使って2匹の猫を離します。猫が落ち着いた後、咬傷や重度の傷がないことを確認してください。
猫のストレスサインが続く時は?
獣医さんに相談してみてください。投薬やサプリメントのアドバイスをもらえることがあります。また、猫が落ち着く天然フェロモンのスプレーや、プラグインのディスペンサーなどリラックス効果の高い商品を試すのもひとつの手段です。
どうか忍耐が鍵であることを忘れないでください。すぐに仲良くなる猫もいますが、順応するために数週間から数ヶ月必要な猫もたくさんいます。時々、本当にほかの猫を拒否する猫もいますが、多くの猫の場合、自分のペースや居心地のよい方法で順応させてやれば、ほどんどの場合において猫は平和に共存できる生き物です。
