何かに怯えている犬は色々な行動を見せます。脅えた犬はその状況や場所から逃げ出したり、相手に対して服従的な行動(目をそらす、脱尿、腹を見せる等)を取ったり、その場で動けなくなり固まってしまう事もあります。その他、恐怖の対象に対して吠えたり、唸ったりという行動を見せる場合もありますし、究極の場合には(強い不安感やその場から逃げる為に)破壊的な行動をおこしたり、コントロールを失い脱尿や脱糞して家を汚してしまったりする事もあります。基本的に、怯えている犬は、頭を低くし、耳を頭の方にに倒したり、尾を足の間に挟み込むというような姿勢を取っています。そして、「はぁはぁ」と暑くもないのに舌を出して息を荒げていたり、よだれを垂らしたり、震えやその場を行ったり来たり歩き回るというような行動をとります。

▼怯えの行動の原因

あなたの犬が怯える根本的な原因を特定する事は、怯えの行動を直す為に必ずしも必要ではありません。しかしその理由が分れば成功に繋がりやすいという事も確かです。基本的に怖がりな気質の犬や、成長の過程で大切な時期にきちんとした社会化の教育を受けてこなかった犬は、ある特定の事柄や状況に対して恐怖心を持つようになった犬よりも、恐怖心を取り除くトレーニングの効果はあまりみられないかもしれません。怯える行動をとる犬に対して一番最初にするべき事は、身体的に何かの問題がないかどうか調べてみる事です。トレーニングをする前に、必ずその犬を獣医さんに連れて行き、身体検査をしてもらって下さい。

▼あなたに出来る事

犬が感じるほとんどの恐怖は、ほっておいたら自然消滅するという事ではありません。逆にそれを放置しておくと、状況は悪くなってしまうかもしれません。恐怖心によっては、その強度や頻度は減少する事はあっても、完全になくなってしまう事はないかもしれません。まず獣医さんに掛かり、身体的な原因を除外してから、その怯えの原因を特定する事です。もしびっくりするような音を怖がる犬には「あなたの犬を雷の音や他の大きな音の恐怖から克服できるように助けてあげる方法(*2012年5月現在未翻訳)」を読んでみて下さい。もし別離分離症の傾向が見られる犬には「別離分離症(*2012年5月現在未翻訳)」の資料を読んでみて下さい。ほとんどの恐怖心は脱感作や逆条件づけなどのテクニックを使い、十分な時間と忍耐を持てば直してあげる事ができます。また、認定された動物の行動学のスペシャリストさんなどの助けを得る事も必要になるかもしれません。

▼脱感作(過敏性を減弱させる方法)

  • まず犬が怖がる原因になっているモノや状況と少しずつ対面させてゆきます。例えば自転車を怖がる犬の場合は、犬から30メートル程離れた場所に自転車を置いてみる。
  • 遠くにある自転車に対し、犬が落ち着いて、怯えた様子をみせない行動をとった時には褒めてあげる。そして、少しづつ自転車の位置を犬に近づけてゆき、犬がそのままリラックスした状態でいる限り、静かに褒めてやり、おやつを与える。この過程の中で、犬が再び不安な行動をとった場合は、すぐさま自転車を今よりも離れた場所に移し、ペースをスローダウンしてあげる。
  • 自転車の存在をあまり怖がらなくなったら、再び自転車を30メートル程先に移し、今度はその自転車を人に乗ってもらい、犬の横をゆっくりと通り過ぎてもらう。この過程でも少しずつ距離を縮めてゆき、必要であれば何度も繰り返してやる。この行程を必要なだけ繰り返し、少しずつ自転車の速度を早くしたりする。犬がその間も落ち着いて、リラックスした状態でいれば、褒めてあげ、おやつを与える。
  • この行程は数日かかったり、数週間かかったり、または数ヶ月かかる事もあります。この脱感作法をとる時は、ゆっくりとしたペースで行い、犬がこれ以上敏感にならないように気をつけましょう。また、この練習をしている時以外は、犬が怖がる対象になるモノを犬の生活のなかに置かない(または犬をその状況に連れて行かない)事にしましょう。

▼逆条件づけ

逆条件づけは脱感作と同時に使うと特に効果があります。この方法は、「怖がる対象」に対する(恐怖以外の)新しいリアクションを学んでもらうという練習です。

  • もしその犬がまだ「おすわり」などのコマンドを知らない場合は、おやつを使い教えてあげて下さい。「逆条件づけトレーニング」とは、恐怖の対象となるコンディションを何か良い事と関連付けて学んでもらう、という事ですので、決して犬を罰したり、首輪を引っぱりショックを与えたり、怒鳴ったりしてコマンドを教えようとしたりしない事が大切です。
  • 先ほど説明した脱感作のトレーニング方法の最中(例えば自転車を前にして)に、「おすわり」「伏せ」などのリクエストを犬に出します。犬がそのリクエストに従ったら褒めてあげます。そして自転車が少しづつ近づいて来る状態で、引き続き「おすわり」などのリクエストを出します。

▼現実的な期待を持つ

犬が怖がる状況を再現するのは難しい場合もあります。例えばあなたの犬が雷の音を怖がる場合、犬は音だけではなく、その時の匂いや、気圧の変化、光の具合などに反応している場合もあります。脱感作のトレーニングの際に、このような効果まで再現するのは不可能です。または、男性が苦手な犬の場合、脱感作トレーニングで男性を使って練習を積む事もできますが、その犬がもし男性と一緒に住んでいたりした場合、練習以外でも常に男性に接する事になります。これではゆっくりと犬を慣らせてゆくという過程を混乱させてしまう事もあります。

▼プロフェッショナルに依頼する時期を知る

まちがったテクニックで脱感作や逆条件づけのトレーニングを行うと、逆効果になってしまう場合もあるので、犬の行動学のプロに来てもらい、家でトレーニングしてもらう事も必要になるかもしれません。覚えておいてほしい重要な事として、怖がっている犬を追いつめたり、無理強いしすぎたりすると、その恐怖は攻撃性に変ります。もしあなたの犬が唸ったり、歯を見せたり、噛み付こうとしたり、攻撃的な行動を見せた場合には、すぐさまトレーニングを中止し、犬の行動学を熟知したプロのトレーナーに助けを求めて下さい。

▼獣医さんに相談する

不安な犬の精神状態を改善してくれる薬を獣医さんにて処方してもらう事も出来るかもしれません。これらの処方薬は必ず動物の薬剤師や獣医さんにて処方してもらったものを与えて下さい。それ以外の薬を獣医さんへの許可なしにあなたの犬に与えるのは絶対にいけません。動物は薬に対して、人間と同じ反応を示しません。人間にとっては安全な薬でも動物にとっては命取りになるような薬も多々あります。また、薬を与えれば、恐怖は完全に直るというものでもありません。その犬の現状が非常に悪い場合には、行動療法トレーニングと同時に薬を使えばうまくいく可能性もあるという事です。

▼使えるグッズ

信頼のおける会社から犬の不安症をやわらげる手伝いをする商品も開発されています。しかし、これらの商品を使えば自動的に恐怖/不安感が直ったりするという事ではなく、行動療法トレーニングと同時進行で使えば助けになるかもしれません。それらの商品に関しては「ペットの不安症を和らげる為のツール」という資料を読んで下さい。(*2012年5月現在、未翻訳)

▼やってはいけない事

  • 怖がる犬を叱ったり、罰してはいけません。そのような行動は犬の恐怖を増長させる事になります。
  • 犬が怖がるモノや事柄を無理矢理体験させてはいけません。例えば、その犬が自転車を怖がる場合、その自転車の真横に犬を無理やり立たせるなど。これらの行為はその恐怖を増長させる事になります。
  • あまりの恐怖で脱尿/脱糞してしまった犬を叱ったり、罰を与えたりしてはいけません。動物は物事の後(例えそれが数秒後であったとしても)に行われる罰や叱咤を理解する事はできません。この状況での脱尿/脱糞は、パニックによりもたらされた状態であり、単に無作法な行動ではありません。叱ったり、罰を与えるのは良い結果をもたらすどころか、状況を悪くします。
  • 怖がる犬を目の前にした時は「大丈夫よ〜」と声をかけたり、撫でたりするような行為は控えて下さい。よかれと思ってした行為でも、これは恐怖な気持ちを増長させる事になったりします。この時に慰めるきもちで撫でたり、おやつをあげたりすると、「恐怖を持つ状況」を褒められていると勘違いしてしまうからです。その代わりに、犬が恐怖の中にいるという事に気がつかないふりをして、普通にしておく事が大切です。

この資料について&ダウンロード

この資料は米国コロラド州のNPO団体、Dumb Friends Leagueに許可を得て、その英文をサンシャイン・スマイルが日本語に翻訳したものです。尚当団体サンシャイン・スマイルは、Dumb Friends Leagueとの提携関係は一切ありません。この資料の最終的な内容と著作権はオリジナルであるDumb Friends League(英語)に帰属します。©2003-2017 Dumb Friends League. All Rights Reserved. 本誌に掲載されているイラストレーション、および記事の無断転載、使用を禁じます。この資料を各自印刷し、無料で配布や使用する事は可能です。(2012年5月発行)


免責

こちらに掲載してある記事は、あくまでも原文(英語)を忠実に訳していますので、記載されている内容の効果や安全性を当団体(サンシャイン・スマイル)で保証するものではありません。これらの資料は参考資料としてお読みください。

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