安全の為にも、どうして犬が「咬む」という行為に出るのか、知っておく事は大切です。犬が「咬む」のは以下の理由からです:
- 恐怖や驚いた時
- 興奮した時(エキサイトメント)
- 怪我や病気などで痛みや苦しみを感じている時
- 物や場所を守ろうとしている時
興奮した時(エキサイトメント)
犬と遊んでいる時に人間がする動きや掛け声は、犬にとってはとても興奮するものです。犬同士で遊ぶ時には、彼らは鋭い牙や爪を使って激しく遊びますが、人間と遊ぶ時にも、犬達は夢中になって同じ様に遊んでしまう事があるのです。人間と同じような「手」を持たない彼らは、口を使って物をつかんだりします。ですから犬達が興奮して遊んでいる時には、彼らにそんなつもりはなくても誤って人を傷つけてしまう事もあるのです。ではどうすればいいのでしょうか?犬と遊ぶときは優しく、落ち着いて遊んであげて下さい。犬が興奮してきたら、その場で動きを止め、犬が落ち着くのを待ってからその場から歩き去って下さい。そして犬が完全に落ち着くまで時間を与え、また遊びを再開してあげて下さい。
怪我や病気などで痛みや苦しみを感じている時
犬が痛みを感じている時、その痛みがいったいどこから来るのか彼らには理解できません。犬が痛みを感じている時にあなたが犬に触ったら、犬はあなたが痛みの原因になっているのだと思い、咬む事で痛み(とその原因=あなた)から逃れようとします。ではどうすればいいのでしょうか?もし犬が痛みを感じていたり、しんどそうにしている時は、距離を置いてあげて下さい──もしその犬があなたの家族であったとしてもです。お父さんやお母さんなど、大人に犬が痛そうだ(しんどそうだ)と教えてあげれば、大人が犬を獣医さんに連れてくれるでしょう。
物や場所を守ろうとしている時
犬は自分にとって大切なものを守ろうとします。それは彼らのオモチャ、ベッド、フード、水のボウル、彼らと暮らす人間、お庭や家、そして車の中など様々です。もしあなたが、それらの物や場所に近づいた場合、犬達はあなたをそれらの物や場所から追い出そうとあなたを「咬む」行動に出るのです。
するべき事/してはいけない事:
- 知らない犬がいる裏庭などの場所に入って行かない。
- フェンスや車越しに犬を撫でようと手を出さない。
- 何かに繋がれている犬を撫でようとして手を出さない。
- 犬達の物(ベッドやフードボウルなど)を触らない。
恐怖や驚いた時
犬達にとって、突然鳴り響く音や、急に動き出す物は、とても恐く感じられます。そんな恐怖の中、彼らは自らの身を守るため相手を咬むという行動に出るのです。つまり犬が「咬む」のは、なんらかの危害を加えられそうな状況に置かれ、その場から逃げられないと思った犬が、自らの身を守る為の行為なのです。
ではどうすればよいのでしょうか?
- あなたの知らない犬がまわりにいる時は、騒がないで静かに、そしてゆっくりと動きましょう。
- 知らない犬を撫でたいときは、まずは必ずその犬の飼い主さんに撫でても大丈夫かどうか確認しましょう。
- 飼い主さんが「撫でてもいいよ」と言った場合には、手のひらを下にして手を出します。まず犬からあなたに近づくようにしてあげて下さい。
- 犬が手のひらを下にしたあなたの手の匂いを嗅ぎに来た場合は、匂いを嗅がせた後、(訳者注:頭ではなく)顎の下の部分を撫でてあげて下さい。
- もし犬が寝ている場合は邪魔をしないで、そのままほっておいてあげて下さい。犬が起きてから撫でたり遊んだりしてあげて下さい。
- もし飼い主さんが側にいない場合は、絶対に犬に触ろうとせず、距離を置いてあげて下さい!
犬からの警告サインを学び、受けとる
犬が怒っている時に私たちに知らせる「警告サイン」を注意して観察しましょう。もしも彼らの耳が頭の後ろにぴたーんと下がり、頭や足を固定して、ぴーんと固い状態のままにしている時は、犬達からの警告のサインだと思ってよいでしょう。彼らはあなたの存在に恐怖を感じており、必要があれば身を守る為の行動をとるでしょう。彼らの背中の毛が立っている場合も、上記に加えた警告のサインです。そして犬達が唸ったり吠えたりして、牙を見せているときは「もう咬むぞ」というサインです。犬が警告サインを出すのは、あなたのしている行動に問題を感じているからです。そういう状況になったら、すぐにその行動をやめるようにしましょう。
もしも犬が警告サインを出してあなたの事を咬もうとしている場合は:
- その場から動かず、目線を地面に移す
- ゆっくりそして静かに1から5まで数える
- ゆっくりと、横か後ろの方向にさがる
- もし犬が攻撃して来た場合、石の様に身体を丸め固くして、腕であなたの顔と頭を守る(訳者注:これはあくまでも原文に忠実に訳していますが、その状況と犬のサイズ、攻撃されている人間のサイズにもよります。)
絶対にしてはいけない事:
- 犬を凝視する(目を合わせる)。これは「自分の事を咬め!」といっているのと同じ事です!
- 走って逃げようとしたり、ジャンプしたり、腕を激しく動かしたりする。
- 大きな声で叫ぶ
- 犬を叩いたり、何かを投げる
もし犬に咬まれたら
犬だけに限らず、何かの動物に咬まれた場合、必ず以下の事をして下さい:
- 大人にあなたを病院に連れて行ってもらって下さい。
- 咬まれた場所を暖かい水と石鹸で洗って下さい。
- あなたを咬んだ動物の種類、サイズ、色を書き留めて下さい。首輪をしていましたか?迷子札などは付いていましたか?どこで咬まれましたか?あなたを咬んだ動物はどこへ行きましたか?
- 以上の情報を大人に伝え、あなたの住む町の動物管理局に報告して下さい。